新訂 小林秀雄全集 第二巻
新訂 小林秀雄全集 第二巻
「死んだ中原」
もし僕が中原中也を知らなくても、もし僕が中原中也と小林秀雄の関係を知らなくても、「死んだ中原」を読んだなら、僕の心をとらえて離さなかっただろう。
僕は中原中也の詩を読んだこともあり、中原中也と小林秀雄の関係を知っている。当然真実であったり本質的なことは当事者しかわからないのだから、世間一般で言われていることを知っているだけだ。
ただ、どちらにしても「死んだ中原」は僕の心を捉えた。
声を出して読んでみた。何度も繰り返し読んでみた。
「……この僕に一体何が納得できただろう……」
自分の親しい人物の死に、納得なんぞできるはずがないのだ。
たとえ、それまでにどんな体験をしていたとしても、二人の関係が複雑になったとしても、納得なんぞでできるはずがないのだ。
第二巻には他の多くの文章が載っているが、「死んだ中原」以上の文章はないと僕は思う。
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